開業・独立

弁当屋の開業1年目でやらかしたこと——税金・客席・設備、今も取り返しがつかないものもある

この記事の結論

開業1年目に、大きな失敗が3つありました。税金の誤算・客席の欲張り・設備の過剰仕様です。

税金は、調べれば防げた失敗です。残りの2つは今も取り返しがついていません。「無知は罪」という言葉が身に沁みたのが開業1年目でした。同じ失敗をこれから開業する人にしてほしくないので、正直に書きます。

3
開業1年目の失敗
1
調べれば防げたもの
2
今も取り返しがついていないもの

前提:元サラリーマンが飲食未経験で弁当屋を開業した

人口5万人未満の地方都市で弁当・惣菜店を開業しました。前職は自動車部品メーカーの生産技術職で、飲食業は未経験です(詳しくはこの人について)。開業前の後悔については別の記事に書きましたが、この記事は「開業後1年目」の話です。

開業前にわからないことがたくさんあった分、開業してから「知っておけばよかった」と思うことが続きました。その中でも金銭的・精神的にダメージが大きかった3つを書きます。

失敗①:税金の誤算——収入が少ない年に、前年の高い収入を基準にした請求が来た

金額として一番ダメージが大きかったのは税金です。

サラリーマンから個人事業主になると、住民税と国民健康保険料は「前年の収入」を基準に計算されます。開業1年目は売上が安定せず収入も少ないのに、会社員時代の高い収入を基準にした請求が来ます。頭では理解していたつもりでしたが、実際に金額が来るまでその重さを実感できていませんでした。この経験は別の記事に詳しく書いています。

もう一つ、税金まわりで失敗したのが経費の計上漏れです。「これは経費として認められるのか」という判断がつかず、迷ったものを個人払いにしてしまったケースが開業1年目には結構ありました。

事業用の道具、仕事のための移動費、打ち合わせでの飲食代——判断基準を知らなかったので、後から「あれは計上できたのか」と気づくことが何度もありました。結果として、本来は経費として落とせたはずのお金を自腹で払っていた形になっています。

この失敗は、知り合いの事業主に聞くか、税務署の無料相談を使うかしていれば防げたと思っています。開業前・開業直後の時期は、知識が一番必要なタイミングです。

失敗②:客席を多く設けた——弁当屋が夜も使いたいと欲張った結果

初めて持つ自分の店だったので、外装にこだわりたい気持ちがありました。そして弁当屋は早朝から昼までの営業なので、夜の時間帯に店が誰も使っていないのはもったいないと思い、客席を多く設けました。夜は食事処として使えるようにしておきたかったのです。

結論から言うと、これは取り返しのつかない判断ミスでした。

弁当・惣菜業は、早朝から昼までがみっちり稼働します。仕込みから始まり、生産、販売、後片付けまで、午前中だけで体力のほとんどを使い切ります。その状態で夜も動こうとすると、単純に体がもちません。

では誰かに夜営業を任せればいいかというと、それも簡単ではありませんでした。夜の営業担当者のために、昼の段取りを朝のうちにこなさなければなりません。段取りが増えた分だけ朝の負荷が上がり、「二兎追うものは一兎も得ず」という状態に陥ってしまいました。

今は弁当に専業化しています。それによって経営は安定しました。ただ、多く設けてしまった客席はそのままで、今も活用できていません。内装を変えるにはコストがかかり、簡単には手を打てない状態です。

夜営業の夢はまだ消えていません。将来的には生産拠点をセントラルキッチンに移し、店舗を販売・飲食の拠点にして夜営業を本格化させたいという構想があります。ただ今は、それを実現できる体制を整える段階です。

失敗③:設備の過剰仕様——「大は小を兼ねる」を真に受けた

開業時、内装・設備は知り合いの工務店に依頼しました。業者を信頼していたし、飲食設備の知識がなかったので、ほぼ任せる形になりました。

後になって気づいたのですが、必要以上に大きな仕様を選定されていました

  • エアコン——弁当屋の規模に対して明らかにオーバースペックなものが入りました。「大は小を兼ねる」と言われ、そのまま受け入れてしまいました。
  • グリーストラップ——油脂を分離するための設備ですが、中華料理店並みの大きさのものを選定されていました。弁当・惣菜業の油の量に対して、明らかに過剰です。

これらは設置してしまった後に気づいたことで、今も取り換えができていません。初期費用が余分にかかっただけでなく、設備の維持・清掃にかかる手間も業態に合わないサイズのものを抱えたままです。

工務店が悪意を持っていたとは思いません。「大きければ安心」という感覚で提案してくれたのだと思います。ただ、判断する側に知識がなければ、提案をそのまま受け入れるしかありません。同業者に話を聞いていれば、「弁当屋にそのサイズは不要だよ」と教えてもらえたはずです。

「無知は罪」という言葉が頭をよぎるのは、この失敗を思い出すときです。知識を持って判断するのと、任せきりにするのとでは、結果がまったく変わります。

まとめ:防げるものと防げないものを分けて考える

3つの失敗を振り返ると、性質が違います。

  • 税金の誤算——調べれば防げた。知識を取りに行く行動力があれば、ダメージを減らせた失敗です。
  • 客席の欲張り——やってみないとわからなかった部分もある。ただ、弁当業の体力的な制約を先輩に聞いていれば、もう少し慎重になれたかもしれません。
  • 設備の過剰仕様——同業者への事前確認で防げた可能性が高い失敗です。

3つに共通するのは「開業前・開業直後に、同業者や専門家への相談が足りなかった」という点です。飲食未経験からの開業だったこともあり、何を聞けばいいかすら分からない状態でした。でも「聞く」という行動をもっと意識していれば、防げた失敗はあったと思っています。

これから開業を考えている方には、失敗リストよりも先に「相談できる人を作る」ことをすすめます。

よくある質問FAQ

個人事業主の開業1年目に税金で困る人が多いのはなぜですか?

住民税・国民健康保険料が前年(会社員時代)の収入を基準に計算されるためです。個人事業1年目は売上が安定しない時期でも、前年の高い収入を基準にした請求が来ます。事前に納付額の概算を調べておくことで、資金繰りの見通しを立てることができます。

開業時に経費として計上できるものを見落とさないためには、どうすればいいですか?

開業前から「この支出は事業のためか、個人のためか」と意識する習慣をつけることです。迷ったら領収書を保管しておき、確定申告時に確認するのが安全です。開業前の準備費用(開業費)として計上できるものもあるので、税務署の無料相談を活用することをおすすめします。

飲食店の開業時、設備選びで失敗しないためのポイントはありますか?

業態に合った仕様かどうかを自分で確認することです。工務店や業者は「大は小を兼ねる」と大きめの仕様を提案しがちですが、過剰仕様は初期費用だけでなく維持費も増えます。同業種の先輩経営者に必要なスペックを聞いておくと、不必要な過剰仕様を防ぎやすくなります。

開業時に「やりたいこと」が複数あるとき、どう絞ればいいですか?

まず一つに専業化して、その事業を安定させてから次を考える順番が現実的です。複数を同時に立ち上げると、どちらも中途半端になるリスクがあります。私の場合、弁当業と夜営業を同時にやろうとして体がもたず、弁当に専業化することで経営が安定しました。