開業から一度も値引きをしたことがありません。値引き交渉をされたことも一度もありません。これは運でも強がりでもなく、創業前から迷いなく決めていた方針があるからです。
なぜ値引きをしないのか、売れ残りはどう処分しているのか。正直に書きます。
値引きをしないと創業前から決めていた
人口5万人未満の地方都市で弁当・惣菜店を経営して3年目になります。開業日から今日まで、一度も値引き販売をしたことがありません。タイムセールも、閉店間際の割引も、「今日限り」の特価もやっていません。
これは開業してから決めたことではありません。創業前に考えていたことです。迷ったことも一度もありません。
値引きをしない理由は2つあります
① ブランド力を守るため
「この店の商品はいつか安くなる」という認識が広がると、定価での購入意欲は下がります。タイムセールに慣れたお客さんは、割引のないタイミングに来なくなります。小さな店ほど、この影響は直接的に出ます。
価格は商品の価値を表すものです。それを自分で下げることは、自分で「この商品はこの値段の価値はない」と言うことと同じだと考えています。
② 定価で買ってくれたお客さんへの誠実さ
同じ商品を後から安く売ることは、先に定価で買ってくれた人に「損をさせた」という印象を与えます。常連のお客さんほど定価で何度も買ってくれています。その人たちに対して、値引きは誠実ではないと思っています。
値引きは集客の手段になりえますが、既存客の信頼を削る可能性も同時に持っています。
売れ残りはどう処分しているか
「値引きしないなら売れ残りはどうするの?」という疑問は自然です。答えは主に2つです。
基本:委託販売先に回す
閉店時間の異なる委託販売先を確保しています。自店で売れ残った商品を夜まで営業している販売先に回すことで、廃棄を最小限に抑えながら定価販売を維持できています。この仕組みを作るまでの経緯は廃棄率の記事と委託販売の記事で詳しく書いています。
例外:プレゼントにする
閉店間際に少量だけ残っている場合、委託先に持っていく手間と天秤にかけてプレゼントすることがあります。
ただしこれは値引きとは別のことだと考えています。
「値引き」と「プレゼント」は別物です
値引きは、価格を下げることで商品の価値自体を変える行為です。「この商品は本来この値段より安い」というメッセージを込めることになります。
プレゼントは、価格をそのままに気持ちとして渡す行為です。「今日はお世話になったから」「少ししか残っていないので」という文脈で渡す場合、商品の価値には手をつけていません。
受け取る側の印象も大きく変わります。値引きは「安くなったから得した」という感覚を生みますが、プレゼントは「気持ちをもらった」という感覚になります。同じ商品が無料で渡されるとしても、この違いは意味を持つと思っています。
近隣でタイムセールを見かけないこと、知り合いの選択
地域の特性もあるのか、近隣でタイムセールをしている飲食店をほぼ見かけません。値引き競争が起きていないのは、経営しやすい環境といえるかもしれません。
一方、知り合いの弁当屋さんは別の方法を選んでいます。売れ残った商品を福祉施設に無料で配っているそうです。廃棄にせず、値引きもせず、社会貢献として処分するという考え方です。値引き以外の選択肢はひとつではないと感じる話です。
「安くして」と言われたことが一度もない理由
開業から3年間、値引き交渉をされたことが一度もありません。これはなぜか、自分なりに考えています。
ひとつは価格と価値のバランスが取れているからだと思っています。値付けの考え方については別の記事で書きましたが、「高い」と感じさせない価格帯を意識しています。値引きを求められる店は、そもそもの価格設定が価値に見合っていない可能性があります。
もうひとつは、値引きをしない雰囲気が自然に伝わっているからかもしれません。セールの張り紙もなく、割引の話を一切しない店には、値引きを期待する雰囲気が生まれにくいのだと思います。
まとめ:価格は価値の表明であり、値引きは自分への問いかけ
値引きをしない理由はシンプルです。ブランド力を守ること、定価で買ってくれたお客さんへの誠実さ。この2点が創業前から変わっていません。
売れ残りは委託販売で回し、量が少なければプレゼントとして渡す。値引き以外の選択肢は存在します。
値引きをするかしないかは、「自分の商品の価値をどう見ているか」の表明でもあります。値引きを迫られるたびにそれを思い出すと、判断は自然と定まります。
よくある質問FAQ
飲食店がタイムセールをやらない理由は何ですか?
理由は2つあります。1つ目は、値引きをするとブランド力が損なわれることです。「この店の商品はいつか安くなる」という認識が広がると、定価での購入意欲が下がります。2つ目は、定価で買ってくれたお客さんへの誠実さです。同じ商品を後から安く売ることは、先に定価で購入した人に損をさせたという印象を与えます。この2点が創業前から変わらない理由です。
売れ残った弁当はどう処分していますか?
基本的には委託販売先に回しています。閉店時間が異なる販売先を確保することで、自店で売れ残った商品を夜まで販売できる体制にしています。閉店間際に少量残った場合は、委託先に持っていく手間と天秤にかけてプレゼントすることもあります。いずれの場合も値引きはしません。
値引きとプレゼントは何が違うのですか?
本質的な違いは「商品の価値を変えるかどうか」です。値引きは価格を下げることで商品の価値自体を変える行為です。プレゼントは価格をそのままに気持ちとして渡す行為で、商品の価値には手をつけません。「今日はお世話になったので」と渡すプレゼントと、「売れないから安くする」値引きは、受け取る側の印象も大きく異なります。
値引きしないと売れ残りが増えませんか?
売れ残りへの対策は値引き以外の方法で行っています。委託販売先の確保がその中心です。閉店時間の異なる販売先に回すことで、廃棄ロスを抑えながら定価販売を維持できています。値引きは廃棄を減らす手段のひとつですが、ブランドを守る別の方法を選ぶことができます。