個人事業主のお金

光熱費2万円台から7万円近くへ——弁当屋3年、生産数と光熱費は比例して増えるという現実

この記事の結論

弁当屋の光熱費は、生産数の増加と連動して上がります。開業当初は月2万円台だった私の店舗の光熱費は、生産数120食ベースの現在、夏場は最大7万円近くになりました。

原因は調理機器の稼働増だけではありません。生産数が増えると冷凍庫・冷蔵庫の増設が必要になり、これが24時間365日の電力消費として積み上がります。開業前に「光熱費は最初のうちの金額がそのまま続く」と思っていたのは、完全な見通し違いでした。

2万円台
開業当初の月額光熱費
7万円近く
現在の最大月額(夏場)
3倍超
3年間の増加倍率

前提:この数字はどんな店舗のものか

私は人口5万人未満の地方都市で弁当・惣菜店を経営しています(筆者について)。この記事の数字は1店舗分のものです。

業態としては、弁当の製造・販売がメインで、惣菜も扱っています。光熱費として計上しているのは電気・ガス・水道の合計です。ただし電気とガスは同一請求のため内訳を分けて管理できておらず、「電気代いくら・ガス代いくら」という細かい数字は把握していません。

開業前の想定:「だいたい2万円くらいかな」

開業前に光熱費をしっかりシミュレーションしたかというと、正直なところほとんどしていませんでした。「飲食店の光熱費は月2〜3万円くらいだろう」という感覚で、根拠のある数字ではありませんでした。

結果的に、開業当初はこの想定が当たっていました。1日の生産数が弁当40食以下だった時期は、月の光熱費は2万円台でほぼ収まっていました。「想定通りだった」という安心感があったのを覚えています。

ただしそれは、生産数が少なかっただけの話でした。

なぜ光熱費が3倍超になったか——3つの理由

理由①:生産数が3倍になり、調理機器の稼働が増えた

現在の生産数は1日120食がベースです。開業当初の40食から比べると3倍です。炊飯・加熱・揚げ物などの調理工程は生産数に比例して増えます。ガス・電気の使用量が増えるのは当然です。

理由②:冷凍庫・冷蔵庫が増えた

生産数が増えると、食材の仕入れ量も増えます。仕入れ量が増えると、保管するための冷凍庫・冷蔵庫が足りなくなります。開業当初から比べると、冷凍庫・冷蔵庫の台数は純増しています。

これが光熱費に大きく影響しました。冷凍庫・冷蔵庫は24時間365日稼働します。台数が増えるということは、その分の電力消費がずっと積み上がり続けるということです。調理機器は使った時間だけ消費しますが、保管機器は使っていない夜中も電気を使います。

理由③:夏場のエアコンが高い

食品を製造する現場では、衛生的な観点から店内を涼しく保つ必要があります。弁当は特に温度管理が重要で、暑い環境での製造は食品の品質に直結します。そのため、一般的な飲食店よりも積極的に冷房を使っています。

結果として、夏場の電気代は他の季節と比べて大きく跳ね上がります。最大7万円近くというのは、この夏場の数字です。

業務用200Vエアコンを入れた理由と、正直な感想

水道光熱費を少しでも抑えようと、200Vの業務用エアコンを導入しました。家庭用の100Vエアコンと比べると、同等の冷房能力に対して消費電力を抑えられるためです。

正直な感想としては、「抑制にはなっているが、解決にはなっていない」という感じです。業務用を入れてもなお夏場は高く感じます。ただ、100Vエアコンだったらもっと高かったはずで、「まだましなのかもしれない」という割り切りをしています。

業務用エアコンのもう一つの利点は、冷却能力の高さです。広い調理スペースを短時間で冷やせるため、朝の作業開始時に素早く適温にできます。電気代だけでなく作業効率にもつながっています。

涼しい店内が、お客さんとの会話になる

衛生目的で店内を涼しくしていると、お客さんから「涼しいね」と言っていただけることがあります。

夏場に「お店涼しくていいね」という会話が生まれるのは、決して狙っていたわけではありません。でも、結果として店内の快適さが小さなコミュニケーションのきっかけになっています。光熱費が高いことへの「せめてもの」という気持ちもありますが、来てくれたお客さんに涼んでもらえるのは悪くないと思って割り切っています。

ここ最近の物価上昇の影響

生産数の増加や設備の増設に加えて、ここ最近は電気・ガスの単価自体が上がっています。同じ使用量でも請求額が増えるため、コントロールしにくい部分です。

光熱費は固定費的に扱われますが、実際は使用量×単価なので、単価の上昇はコントロールできません。節電・節ガスの努力をしても、単価上昇で相殺されてしまうことがあります。この部分は割り切って、コントロールできる使用量の削減に集中するようにしています。

現在の光熱費の内訳(わかる範囲で)

項目金額の目安備考
電気+ガス(合算)月最大7万円近く夏場のピーク。冬は下がる
水道月5,000円未満2ヶ月に1度の請求で1万円未満
合計月最大7〜8万円台季節・生産数により変動

電気とガスは同一請求のため、それぞれの内訳は把握できていません。「どっちが高いか」を正確に知りたいと思いつつ、現状は合計額で管理しています。経費管理全体の仕組みはこちらで書いています。

まとめ:開業前の光熱費想定は「最初の規模」でしかない

弁当屋の光熱費についての正直なまとめです。

  • 開業当初の光熱費を基準に将来を見積もってはいけない。生産数が増えれば比例して上がる
  • 特に冷凍・冷蔵庫の増設は24時間稼働のため、台数増加は光熱費の「底上げ」になる
  • 夏場のエアコンは食品衛生上省けないコスト。業務用200Vで抑制はできるが解決はしない
  • 物価上昇による単価上昇はコントロールできない。使用量を減らすことに集中する

開業を考えている方は、「軌道に乗った後の生産数」で光熱費を試算することをおすすめします。開業直後の数字はあくまで「少ない生産数での数字」です。事業が育つほど光熱費も育つ、というのが3年やってみての実感です。

よくある質問FAQ

弁当屋の光熱費の目安はいくらですか?

私の店舗では開業当初(1日40食以下)が月2万円台、生産数120食ベースの現在は最大7万円近くになっています。生産数や設備構成によって大きく変わるため一概には言えませんが、生産数が増えるほど冷凍・冷蔵庫の増設や空調費が積み上がり、光熱費も比例して上がる傾向があります。

飲食店の光熱費は生産数によって変わりますか?

大きく変わります。私の経験では、生産数が40食から120食(3倍)に増えるにつれ、光熱費も2万円台から最大7万円近く(3倍超)になりました。生産数が増えると調理機器の稼働時間が伸びるだけでなく、食品保管のために冷凍庫・冷蔵庫を増設する必要が出てきます。これらの機器は24時間365日稼働するため、台数が増えるほど基礎的な電力消費が上がります。

弁当屋の夏場の電気代が高くなる理由は何ですか?

主な理由は2つです。1つは調理現場の空調です。食品を扱う現場は衛生的に高温を避ける必要があるため、一般的な飲食店より室温を低く保つ必要があります。もう1つは冷凍・冷蔵庫の負担増です。外気温が上がると庫内温度を維持するためにコンプレッサーがより多く動くため、同じ台数でも夏場の消費電力は増えます。

業務用エアコン(200V)は電気代の節約になりますか?

家庭用100Vエアコンと比べると、同等の冷房能力に対して消費電力を抑えられる場合が多いです。私の店舗では水道光熱費を抑える目的で200Vの業務用エアコンを導入しています。それでも夏場の電気代は高く感じるので「抑制」にはなっていますが「解決」にはなっていません。ただ、業務用は冷却能力が高く、広い調理スペースを短時間で冷やせる点は生産効率にも影響しています。

弁当屋の水道代はいくらくらいかかりますか?

私の店舗では2ヶ月に1度の請求で1万円未満、月換算で5,000円未満です。弁当の製造では仕込み・洗浄・手洗いの頻度が高いため水道使用量は多いですが、光熱費(電気・ガス)に比べると割合は小さいです。