開業2年は免税事業者。3年目に課税事業者となり、インボイス登録もそのタイミングで行いました。申請は10分・番号到着まで約1ヶ月。思ったより簡単でした。
法人や事業者との取引があるなら、インボイス登録は実質的に必須です。未登録だった免税期間中、インボイス番号を聞かれて「未登録」と答えたら次の注文がなくなる——という経験を複数回しています。正直に書きます。
期間
申請にかかった時間
消費税率
前提:開業2年は免税、3年目から課税事業者
人口5万人未満の地方都市で弁当・惣菜店を2店舗営んでいます(詳しくはこの人について)。消費税は、前々年の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります。開業から2年間はこの判定期間がなく、売上規模に関わらず免税事業者として扱われます。
私は開業2年間を免税事業者として過ごし、3年目から課税事業者になりました。
「1,000万円以下に抑えればいい」は飲食では通用しない
消費税の課税を避けるために「売上を1,000万円以下に抑える」という考え方があります。ただ、飲食系では現実的ではないと思っています。
物価高の現在、仕入れ価格が上がれば売価も上げざるを得ません。意識して抑えようとしても1,000万円を超えてしまう——それが今の飲食の実態です。そもそも売上1,000万円以下では飲食店として生活していくのが難しい水準でもあります。
「免税を使える期間は最大2年」と最初から割り切って、課税事業者になった後の資金繰りを開業前から想定しておくほうが現実的です。
免税期間中の誤算:インボイス番号を聞かれ、注文が消えた
インボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まってから、免税期間中に困ったことがありました。取引先からインボイス登録番号(T番号)を求められるようになったのです。
「まだ登録していません」と答えると、次から注文がなくなるということが複数回ありました。法人や事業者向けの取引では、仕入れ税額控除のためにインボイスが必要です。未登録の事業者からの仕入れは、取引先側の税務上の不利につながるため、取引を避けられるのです。
個人向けだけなら関係ない話ですが、法人・事業者向けの取引が少しでもあるなら、インボイス登録は実質的に必須だと身をもって実感しました。
3年目に登録した理由:免税終了と社会的信用
インボイスへの登録は、課税事業者になった3年目に行いました。判断の理由は2つです。
ひとつは免税が外れたタイミングであること。課税事業者になった以上、登録しない理由がなくなりました。もうひとつは社会的信用です。レシートにインボイス番号が印刷されることで、取引先から改めて番号を聞かれることがなくなり、やり取りがスムーズになりました。
「登録するかどうか悩んでいる」という声をよく聞きますが、法人・事業者との取引がある事業では、悩む実益はあまりないと感じています。
申請の実際:10分で終わり、1ヶ月で番号が届いた
インボイスの登録申請は、国税庁のe-Taxから行いました。入力自体は10分程度で完了しました。難しい設問はなく、事業者情報を入力して送信するだけです。
申請から約1ヶ月で登録番号(T+13桁)が届きました。登録後はレシートに番号を印刷するよう設定を変更しただけで、それ以降は取引先から番号を聞かれることがなくなりました。手続きの煩雑さと比べて、得られる効果は大きかったと思っています。
軽減税率の混在:弁当は8%、容器は10%
弁当屋として頭を悩ませるのが税率の混在です。
テイクアウト(持ち帰り)の飲食物は軽減税率8%が適用されます。一方、容器代や消耗品の仕入れは10%です。同じ「弁当に関わる費用」でも税率が違う品目が混在するため、仕訳のルールを最初に整理しておかないと帳簿が複雑になります。
私はマネーフォワード クラウド会計を使っているので、品目ごとに税率を登録しておけばあとは自動で処理されます(マネーフォワードの話はこちら)。会計ソフトなしで手計算でやろうとすると、かなり手間がかかると思います。文明の利器をちゃんと使う——これに尽きます。
マネーフォワード クラウド会計
8%・10%の税率混在も品目登録で自動処理。インボイス対応の帳票も出力できます。銀行・クレジットカード明細の自動仕訳で、消費税計算の手間を大幅に減らせます。
マネーフォワードの公式情報を見るよくある質問FAQ
飲食店の個人事業主はいつから消費税の課税事業者になりますか?
原則として、前々年の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります。開業から2年間は売上規模に関わらず免税事業者として扱われます。ただし物価高の現在、飲食店では仕入れ価格の上昇に伴い売価も上がるため、1,000万円を意識して抑えようとしても超えてしまうケースが多くあります。「免税は最大2年」と最初から割り切って準備しておくほうが現実的です。
インボイス(適格請求書)に登録するべきですか?
法人や事業者向けの取引がある場合は実質的に必須です。私は免税期間中にインボイス番号を聞かれ、未登録と答えると次から注文がなくなることが複数回ありました。登録後はそうした問題がなくなりました。一般消費者のみを相手にする事業では、登録しないという選択肢もあります。
インボイスの登録申請は難しいですか?
思った以上に簡単です。申請自体は10分程度で完了し、登録番号が届くまで約1ヶ月かかりました。登録後はレシートにも番号が印刷されるため、取引先から別途確認されることもなくなりました。
テイクアウトの弁当屋は消費税率が8%と10%どちらですか?
テイクアウト(持ち帰り)の飲食物は軽減税率8%です。ただし容器代は10%になるなど、品目によって税率が混在します。会計ソフトに正しく登録しておけば自動で処理されますが、仕訳のルールを最初に整理しておくことが重要です。
課税事業者になると手取りが減りますか?
納税額が発生する分、手取りは減ります。ただし仕入れにかかる消費税を仕入税額控除できるため、実際の負担は「売上の消費税」から「仕入れの消費税」を引いた差額分です。会計ソフトで正確に管理すれば、計算の手間は大きく減らせます。