私の店の弁当は固定3品+日替わり5品前後、惣菜はほぼ固定です。開業当初は5〜6品が精一杯でしたが、仕込みの効率が上がって今は全体で8〜10種類を回しています。
品数を決める基準は「売上」でも「豪華さ」でもなく、毎日ローテーションが無理なく組めるかと考えることを増やしすぎないかの2点でした。固定・日替わり・惣菜のそれぞれに役割を持たせた、その考え方を正直に書きます。
前提:品数は「増やす」より「回せる数に整える」もの
人口5万人未満の地方都市で弁当・惣菜店を営んでいます(詳しくはこの人について)。開業3年目で、味は専属の調理担当に任せ、私は主に仕組みと経営を見ています。
メニューの品数は、開業前に一番迷ったところの一つでした。少なすぎると飽きられそうだし、多すぎると回らない。結論から言うと、「何品が正解か」ではなく「自分の店が毎日きちんと回せる数はどこか」という問いに置き換えてからは、迷いがなくなりました。今は固定3品+日替わり5品前後、惣菜はほぼ固定、という構成に落ち着いています。
開業当初は5〜6品——増やせたのは「効率が上がった」から
開業したての頃は、5〜6品を作るのが精一杯でした。品数を絞っていたというより、それ以上を回す段取りがまだ無かった、という方が正確です。
そこから今の8〜10種類まで増やせたのは、売上を狙って無理に品数を足したからではありません。仕込みの効率が上がった結果、同じ時間で回せる種類が自然に増えたという順番です。予約に合わせてその日のメニューを確定させていく生産計画にしたことも、品数を増やしても破綻しない下地になりました(この生産計画のやり方は予約管理の仕組みにまとめています)。
だから「メニューを増やしたい」と思ったときにまず見直したのは、献立の数ではなく仕込みの段取りでした。回せる土台ができてから品数はあとからついてきます。順番を逆にすると、増やした分だけ現場が苦しくなるだけだと思います。
固定3品の役割:看板になるが、原価率は良くない
固定にしている3品は、よく予約が入る人気商品です。「これがある店」と覚えてもらう看板として置いています。
ただ正直に言うと、固定の看板商品ほど原価率は良くありません。人気が出る商品はどうしても食材にお金がかかりがちで、そこは他のメニューで相殺している、というのが実態です。原価率だけを見れば外したくなる数字ですが、それでも固定を置くのは、集客の入り口になり、生産計画の軸になるからです。弁当の値付けと原価率の実際にも書きましたが、原価率は1品ずつではなく店全体のバランスで見るようにしています。
日替わり5品の役割:いつ来ても新しさを残す
日替わりの5品は、「いつ来てもメニューに新しさがある」状態を作るための枠です。
うちのお客さんは、家族分をまとめて買っていく方が大多数です。その方たちが「前は固定を買ったけど、今日はこっちにしようかな」と日替わりを選んでくれる。固定で安心感、日替わりで飽きさせない——この2つが噛み合うと、同じお客さんが週に何度でも来られるメニューになります。
日替わりの決め方は、まず予約を優先して組み込み、残りをその日に合ったもので埋めるやり方です。たとえば暑い予報が出ていれば、さっぱり系を一品入れる。予約に合わせてメニューを確定させていく生産計画なので、日替わりは予約の受け皿にも、その日の気候に合わせる調整弁にもなっています。
惣菜をほぼ固定にしている理由:思考の負荷を減らす
惣菜はほぼ固定です。日替わりにしていません。理由は2つあります。
1つは、惣菜は弁当のついで買いを狙った位置づけだからです。惣菜そのもので人を集めるところまでは、正直まだ力が回せていません。だから惣菜は「弁当を買うお客さんが、もう一品足したくなる」役割に徹してもらっています。
もう1つ、そしてこれが最大の理由ですが、惣菜まで日替わりにすると、考えることが増えすぎるからです。固定にしておけば、その分の献立を毎日考えなくて済む。思考の負荷を減らす——これは品数を決めるうえで、原価率と同じくらい大事にしている基準です。人が回している店なので、頭の余白を残すこと自体が経営判断だと思っています。
品数を増やしても廃棄は増えなかった
「品数を増やすと廃棄が増えるのでは」とよく聞かれます。私の店では、廃棄はほぼありません。
理由は、ほぼ売り切れる前提で生産計画を立てていることと、それでも残ったものは遅くまで販売してくれる委託販売先に持っていくからです(委託販売の詳しい話は委託販売4か所で学んだことに書いています)。品数を増やしても廃棄が増えなかったのは、感覚で数を決めず、予約に合わせて作る量を決める仕組みにしているからだと考えています。
集客への効果も正直に書きます。品数を増やして来客数が横ばいか、少し増えた程度でした。爆発的には伸びていません。ただ、リピーターや常連が増えている実感はあります。品数を増やす効果は、新規のお客さんを呼ぶより「飽きさせずに通い続けてもらう」方に出ている、というのが3年やってみた感触です。
失敗:人気なのに「作りきれなくて出せない」メニュー
品数のことで一番もどかしいのが、人気があるのに、なかなか出せないメニューがあることです。
日替わりの新商品として開発して、実際にお客さんの反応も良かった。それなのに手間が多くかかりすぎて、他の弁当を作る時間を圧迫してしまう。「これを出すと、その日の他のメニューが回らない」となると、どんなに人気でも頻繁には出せません。結果、たまにしか登場しない幻のメニューになっています。
これは味やレシピの失敗ではなく、「品数の設計」と「1品あたりの手間」を天秤にかけ損ねた失敗です。メニューを増やすときは、おいしいか・売れるかだけでなく、「これを入れても、その日のローテーション全体が回るか」まで見ないといけない——それを身をもって学びました。今は新メニューを加えるとき、味と同じくらい「手間の重さ」を先に確かめるようにしています。
まとめ:品数は「回せて、考えすぎない数」に置く
3年やってたどり着いた、メニュー構成の考え方をまとめます。
- 固定3品……看板になる人気商品。原価率は良くないが集客と生産計画の軸にする
- 日替わり5品……いつ来ても新しさを残す枠。予約を優先して組み、その日の気候で調整する
- 惣菜はほぼ固定……ついで買いの受け皿。日替わりにせず思考の負荷を減らす
- 品数を増やす前に仕込みの段取りを整える……回せる土台ができれば種類はあとからついてくる
- 新メニューは「味」と同じくらい「手間の重さ」で判断する……人気でも作りきれなければ出せない
品数は多いほどいいわけでも、少ないほど楽なわけでもありません。自分の店が毎日きちんと回せて、頭の余白も残る数——そこに置くのが、続けていくうえで一番だと思っています。
よくある質問FAQ
弁当屋のメニューは何品くらいがいいですか?
私の店は固定3品+日替わり5品前後、惣菜はほぼ固定で、全体では8〜10種類です。開業当初は5〜6品が精一杯でしたが、仕込みの効率が上がるにつれて増やせました。品数は「多いほどいい」のではなく、毎日ローテーションが無理なく組める数に落ち着けるのがコツだと思っています。
固定メニューと日替わりメニューはどう使い分けていますか?
固定はよく予約が入る人気商品を看板として置き、日替わりでいつ来ても新しさが残るようにしています。お客さんは家族分をまとめて買う方が多く、前回は固定を買った人が今日は日替わりに、という選び方をしてくれます。固定で安心感、日替わりで飽きさせない、という役割分担です。
看板にしている固定メニューの原価率は良いのですか?
正直、良くはありません。よく出る人気商品なので看板にしていますが、原価率は高めで、他のメニューで相殺しているのが実態です。それでも固定を置くのは、集客の入り口になり生産計画の軸になるからで、原価率だけでは判断していません。
惣菜を固定にしているのはなぜですか?
惣菜は弁当のついで買いを狙った位置づけで、惣菜そのもので集客するところまで力が回せていないからです。加えて、惣菜まで日替わりにすると考えることが増えすぎます。固定にして思考の負荷を減らすことが最大の目的です。
日替わりメニューはどうやって決めていますか?
まず予約の内容を優先してその日のメニューに組み込み、残りをその日に合ったもので埋めます。たとえば暑い予報の日はさっぱり系を入れる、といった調整です。予約に合わせてメニューを確定させていく生産計画にしているので、日替わりは在庫と予約の受け皿にもなっています。
品数を増やすと廃棄は増えませんか?
私の店ではほぼ売り切れる前提で生産計画を立てており、残っても遅くまで販売してくれる委託販売先に持っていくので、廃棄はほぼありません。品数を増やしても廃棄が増えなかったのは、感覚ではなく予約に合わせて数を決める仕組みにしているからだと思っています。
メニューを増やして売上や集客は伸びましたか?
来客数は横ばいか少し増えた程度で、爆発的には伸びていません。ただ、いつ来ても新しさがあることでリピーターや常連が増えている実感はあります。品数を増やす効果は、新規集客より「飽きさせずに通ってもらう」方に出ていると感じています。