経営のリアル

弁当屋が8人雇って3人辞めた話——採用・教育・定着の実録とマニュアル整備の苦労

この記事の結論

開業から今まで累計8名を採用し、3名が退職しました。退職理由はそれぞれ異なりますが、定着しない環境を作ってしまった一番の原因はマニュアル未整備です。

マニュアルを整備してからは状況が変わり、今はスタッフがセミオート状態で動いてくれる体制になっています。採用と教育で失敗した経験を包み隠さず書きます。

8
累計採用人数
3
退職者数
5
Instagram求人への応募数

前提:開業時は2人、企業注文が増えて人手が必要になった

私は人口5万人未満の地方都市で弁当・惣菜店を2店舗経営しています(詳しくはこの人について)。開業直後は私と協力者の2名で切り盛りしていました。

徐々に企業からのまとまった注文が入るようになり、友人や親族に手伝ってもらいながら乗り越えていた時期があります。2店舗目の出店を決めたタイミングで、初めて本格的な採用に踏み切りました。

採用:Instagramで出したら5名からすぐ応募が来た

2店舗目の出店時、Instagramで求人を出しました。投稿してすぐに5名から応募があり、3名を採用しました。地方の小さな弁当屋でも、最低賃金より少し上の条件を提示するだけで応募は来るというのが率直な印象です。求人媒体に高い費用をかけなくても、SNSで十分に機能しました。

その後、マニュアルがある程度整ってきたタイミングでハローワークでも求人を出しました。ここで60代の方を採用したのですが、これが良い意外性でした。

60代採用の感触:積極的でよく動く、ただデジタルは苦手

60代のスタッフは仕事に積極的で、自分から考えて動いてくれる方が多い印象です。若いスタッフにはない安定感と責任感があります。一方で、作業スピードがやや遅いことと、デジタルツールへの慣れに時間がかかるのは正直なところです。ただトータルで見れば十分に戦力になっています。年齢だけで判断しないようにしてよかったと思っています。

最大の失敗:マニュアルなしで採用してしまった

最初の採用で一番後悔しているのが、マニュアルが整備されていない状態で採用してしまったことです。

全て口頭で指示していました。隣でつきっきりで指摘しながら教えるので私の負担も大きく、スタッフ側も意図がなかなか伝わらず苦労させてしまいました。退職者が出て定着しない環境を作り上げてしまったのは、明らかにこれが原因です。

マニュアル作りのジレンマ

その反省からマニュアル整備を進めましたが、これ自体も簡単ではありませんでした。

  • 細かく書くと情報量が多くて分かりにくくなる
  • ざっくり書くと大雑把すぎて使えない
  • 人によって理解度が違うので、掘り下げが必要な箇所が人それぞれ異なる

今も試行錯誤は続いていますが、工程を1枚で把握できるシンプルな指示書をベースにして、個別に補足する形に落ち着いてきました。また生産指示は40インチのモニターにデジタル表示することで、口頭確認の手間を減らしています(詳しくは1人で2店舗を回す仕組み)。

辞めた3名の話:それぞれ理由が違う

累計8名採用して3名が退職しました。それぞれの退職理由を正直に書きます。

退職パターン状況
試用期間でさよなら遅刻・無断欠勤が続いたため試用期間中に契約終了
勤務時間が合わなかった弁当屋の早朝スタートが生活に合わず退職
独立して起業した健康系の個人事業を立ち上げるため退職。今も情報交換・協力関係が続いている

3人目の退職は「やりたいことができた」と言って個人事業主として独立したケースです。退職後も連絡を取り合っていて、今でもお互いに情報交換したり協力したりしています。こういう形で関係が続くのは悪くないと思っています。

1人目(試用期間中の無断欠勤)だけは採用ミスと言えますが、残り2名はミスマッチや前向きな理由です。「辞めた=失敗」とは必ずしも言えない部分があります。

今の体制:月1回のシフト希望で自走している

シフト管理は月に1回、スタッフから希望を集めてそれに沿って組んでいます。希望を尊重することで不満が出にくく、定着につながっていると感じます。

生産指示はデジタル化しており、40インチのモニターに表示しています。何を何個作るかが一目で分かる状態になっているので、私がいなくてもスタッフだけで製造が進みます。今ではセミオート状態で商品が出来上がっていく体制です。

結論:一番大変なのは「慣れてもらうまで」の期間

採用・教育・定着を経験して分かったのは、一番負担が大きいのは育つまでの教育期間だということです。逆に言えば、そこを乗り越えてもらえれば一人でどんどん動いてもらえます。

その教育期間を短くするのがマニュアルです。最初にマニュアル未整備で採用した失敗から、今はマニュアルを先に整備してから採用する順番に変えています。採用の順番を変えただけで、スタッフにかける負担も自分の負担も大きく変わりました。

よくある質問FAQ

小さな飲食店のスタッフ求人はどこに出すのが効果的ですか?

私はInstagramとハローワークを使いました。2店舗目の出店時にInstagramで求人を出したところすぐに5名から応募があり、3名を採用できました。最低賃金より少し上の賃金設定にするだけで応募は来る印象です。マニュアルが整ってきた段階でハローワークも活用し、60代の方を採用したところ積極的でよく動いてくれています。

採用したスタッフが定着しない原因は何ですか?

私の場合、マニュアルが整備されていない状態でスタートしたことが最大の原因でした。全て口頭で指示していたため意図が伝わりにくく、スタッフにも余計な負担をかけてしまいました。マニュアルを順次整備してからは定着率が改善しています。採用時に勤務時間帯など条件のミスマッチをしっかり伝えておくことも重要だと感じています。

飲食店のマニュアル作りで難しいことは何ですか?

「細かく書くと分かりにくい、ざっくり書くと大雑把」というジレンマです。さらに人によって理解度が違うため、掘り下げが必要な箇所が人それぞれ異なります。私は今も試行錯誤中ですが、工程を1枚で把握できるシンプルな指示書をベースにして、個別に補足する方法に落ち着いてきました。

60代のスタッフを採用してみてどうでしたか?

良い印象でした。仕事に積極的で自分から考えて動いてくれる方が多く、若いスタッフとは違う安定感があります。作業スピードがやや遅い点と、デジタルツールへの慣れに時間がかかる点はありますが、トータルでは戦力になっています。年齢だけで判断しない方がいいと実感しました。